Google Cloud Next Tokyo '24 Day1 & Day 2 基調講演でのアップデートを纏めました #GoogleCloudNext
8/1-2の日程にて Google Cloud Next Tokyo '24 がパシフィコ横浜にて開催されました。
ここでは、2日間の基調講演で発表されたアップデート情報について概要レベルで纏めていきます。今回の基調講演では生成AI関連のみならず、BigQuery やデータベースに関する新たなアップデートも発表され、個人的に目が離せないセッションでした。
なお、基調講演内で発表のあった情報には Google Cloud Next '24 (LasVegas) や 2024年5月の Google I/O 2024 などで既に発表されている情報もありますが、注釈をつけて記載しております。直近の Google ならびに Google Cloud のアップデートや取り組みについてもキャッチアップできる機会ですのでぜひご参照ください。
Day 1 (2024/8/1)
生成AIへの投資
- 日本をデータのハブと位置付け、日本(アジア)と北米を繋ぐ5本の海底ケーブルの開通プランを継続。さらに1,500億円を投じた2本の海底ケーブルの構築。(2024年4月発表)
- 2023年印西データセンター開設に引き続き、日本を重要拠点と位置づけデータセンター投資を継続。
- AIに最適化されたコンピューティングリソースの機能強化として、NVIDIA H100を搭載した A3 Mega VMs を一般提供。また、NVIDIA GB200 NVL72 を 2025年リリース予定。(2024年4月発表)
生成AIエコシステム
- 経済産業省が進める日本国内での生成AI基盤モデル開発プロジェクト GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge) で Google Cloud の GPUインスタンスを数千コア規模で採用。GENIACに参加する企業がGoogle Cloud 上で生成AI基盤モデル開発を進めている。
- Preferred Elements社(Preferred Networksグループ会社) 開発の LLM である PLaMo-100B を Google Cloud Marketplace マーケットプレイスから提供予定。
- Sakana AI社 が推奨クラウドプロバイダとして Google Cloud を選定。GPU リソースをモデルの学習基盤として採用。
Gemini Pro 1.5
- Gemini Pro 1.5 は LMSYS Chatbot Arena Leaderboard の日本語版で 1位(2024/5/15時点) に。
- Google I/O 2024 で発表された AIアシスタントである Project Astra の日本語版デモの紹介。
※Project Astra の正式リリースは決定していませんが日本語対応が期待できますね。
責任あるAIへの取り組み
- フェイク画像拡散を防止する目的で 2023年に発表した電子透かし機能である SynthID だが、ビデオ/テキストにも対応。(2024年5月発表)
Gemini
- 大容量タスクに対し、高速回答可能なコスト効率の高いモデルである Gemini 1.5 Flash が一般提供中。(2024年5月発表)
- Gemini モデル in Japan の提供を発表。データアットレスト機能により、ユーザプロンプトやモデルの回答が日本に保存されるとのこと。
- Geminiを利用する際バックエンドのLLM処理が日本で完結する ML Processing in Japan を発表。リリースは2024年後半とのこと。
- Gemini for Google Cloud Service Level Agreement(SLA) にて Gemini は SLAサポートの対象となる。これにて高度に規制された業界でも Gemini を利用可能となる。
Vertex AI Model Garden
- Model Garden にて ANTHROPIC社 Cloud 3.5 Sonnet 利用を一般提供。 (2024年6月発表)
- 軽量且つ最先端のオープンモデル Gemma 2 を 90億パラメータと 270億パラメータの 2サイズで提供。(2024年6月発表)
- Model Garden にて Meta社 Llama3.1 405Bモデルをプレビュー提供開始。8B/70Bモデルも今後提供予定。
- Model Garden にて Mistral AI社 Mistralモデル Codestral の利用を一般提供開始。Google Cloud はコーディングに特化した Codestral が使える唯一のプラットフォームに。また、Mistral AI社最新モデルである Large 2, Nemo も一般提供開始。
Vertex AI Model Builder
- 大規模なコンテキストウインドウをプロンプトごとに入力するコスト課題を解決する Gemini 1.5 Pro | Gemini 1.5 Flash コンテキストキャッシング の機能を更改プレビュー提供中。
Vertex AI Agent Builder
- 生成AIによるハルシネーションを抑止するためのグラウンディング機能である Grounding on Vertex AI において以下のオプションを準備中。
- サードパーティによるグラウンディング:2024年第三四半期に導入予定
- 高忠実度モードによるグラウンディング:試験運用プレビュー
- Dynamic Retrieval:2024年第三四半期に導入予定
- Dynamic Retrieval は、ユーザのプロンプトに基づいてRAGクエリを最適化し、ダイナミックに実行することを可能にする機能とのこと。
- エンタープライズデータとのグラウンディングについては、BigQuery、AlloyDB、Cloud Storage、Google Drive をサポートしているが、Cloud SQL、Spanner、Firestore、Bigtable についても公開プレビュー提供中。
Gemini for Workspace
- 利用ユーザ数は100万人以上。利用企業は数万社。
- 日本語対応の Google Workspace 拡張 ベータ版を発表。
- 特定の機能のためにカスタマイズ可能なチャットボットである Gemsをリリース。(2024年5月発表)
- Google Workspace のアプリケーションのサイドパネルから Gemini にチャットできるサイドパネル機能をリリース。 (2024年6月発表)
- Gemini サイドパネル機能は、日本語サポート。Gmail, Docs, スプレッドシート等について 9月にアルファ版移行、まもなく一般提供とのこと。
- Gemini アプリ のチャットから Google Drive や Gmail, Google Docs に直接連携可能に。
Day 2 (2024/8/1)
画像・動画生成AI
- テキストプロンプトからAIで動画の製作が可能なツール Google Vids をアルファ版テストにて提供中。
- Imagen 3 は画像生成モデルの課題であるテキスト埋め込みの品質高い。生成した画像の中に漫画の吹き出しの形でテキストを表現するなどを可能に。(2024年5月発表)
- Google Veo は テキストプロンプトから1分以上の動画が生成可能。(2024年5月発表)
BigQuery
- AIでデータの準備、検証、拡充を簡素化する Gemini in BigQuery をプレビュー提供中だが、一部の機能が8月に一般提供予定。
- 自然言語によるクエリや埋め込まれた視覚化によるノートブックのような新しい体験を提供する BigQueryデータキャンバス を一般提供。
- クエリパフォーマンスを向上させるデータ最適化を行うための マテリアライズドビュー Recommender, パーティションとクラスタの Recommender が一般提供。
※なお、BigQueryデータキャンバスと Recommender は一般提供と発表ありましたが、ドキュメントはいずれもプレビューとなっていました。
https://cloud.google.com/bigquery/docs/data-canvas?hl=ja
https://cloud.google.com/bigquery/docs/manage-materialized-recommendations?hl=ja
https://cloud.google.com/bigquery/docs/view-partition-cluster-recommendations?hl=ja - Data Preparation for Gemini in BigQuery のプレビュー提供を開始。欠損地の推測、データのクリーニングとキュレーションの推奨、データパイプラインオーケストレーションなどをAIがサポートする機能とのこと。
- BigQueryで直接行えるベクトルインデックス機能である Vector Indexing in BigQuery をプレビュー提供中。(2024年4月発表)
Gemini in Looker
- Gemini in Looker(プレビュー)の機能として、Google スライドと連携して分析結果を自動で スライド作成する機能を公開プレビュー。
- また、自然言語のプロンプトで独自のデータセットに基づいた指標や項目を組み合わせた計算フィールドを作成可能な数式アシスタントをプレビュー提供。
※詳細は以下ブログをご参照ください。
https://cloud.google.com/blog/ja/products/business-intelligence/ai-powered-slide-generation-and-formula-assistant-in-looker
Gemini Code Assist
- Gemini 1.5 モデルを日本語サポート。これにより日本語でのコード生成支援を利用可能に。
データベース
- 高可用性かつグローバルで一貫性のあるスケーラビリティを提供する Spanner に新しいグラフデータベースモデルである Spanner Graph をプレビュー提供。
- Spanner に全文検索とベクトル検索機能をプレビュー提供にて追加。全文検索は日本語にも対応し、Google の十数年にわたる検索に関する専門知識がベース。ベクトル検索は ScaNN検索アルゴリズムがベース。
- これらの変更により、Standard / Enterprise / Enterprise Plusの利用モデルからなる新たな Spanner エディションを定義。
- 生成AIエージェント、不正検出、レコメンデーションなどのユースケースをサポートするためのイベントストリーム処理など、高いスループットを必要とするアプリケーションの構築に最適化された Bigtable distributed counters (分散カウンタ) を一般提供開始。
- Bigtable での SQLサポートをプレビュー提供開始。
- Oracle とのパートナーシップを発表。Exadata や Autonomous Database などの Oracle サービスを Google Cloud データセンター内にホスティング可能に。Oracle Cloud Infrastructure との相互接続など様々なオプションが利用可能。(2024年6月発表)
- Cloud SQL for SQL Server Enterprise Plus エディションの一般提供開始。Enterprise エディションと比較し最大4倍の読み取りパフォーマンス向上。
※データベース関連のアップデート詳細は以下ブログをご参照ください。
https://cloud.google.com/blog/ja/products/databases/google-cloud-operational-database-enhancements-for-ai/
セキュリティ
- Gemini を利用して脅威インテリジェンスの活用を支援する Gemini in Threat Intelligence をプレビュー提供中。(2024年4月発表)
- SIEM、SOAR、UEBAを統合したセキュリティ運用プラットフォーム Google Security Operations を一般提供中。(2024年4月発表)
- Google Cloud の統合セキュリティプラットフォームに Gemini が統合された Gemini in Security Command Center を一般提供中。(2024年4月発表)
- AIモデルを安全なものとして実装するための概念であるセキュアAIフレームワークに基づき、Security Command Center の監視・保護対象をAIワークロードに拡張している。今期プレビュー版公開予定の Model Armor により、カスタムポリシーやコンテンツセーフティフィルター設定で不適切なモデルプロンプトや応答のブロック、削除が可能となるとのこと。